バラエティ番組 『ヤバいバル』感想

先週の月曜日、夜に『ヤバいバル』という、バラエティ番組を初めて観た。

パソコンをみてたときに、偶然かかっていたテレビ番組。

最初は特に注意を払うこともなく、BGⅯとして流していた。

そのうちに会話が耳に入ってくるようになり、途中からは真剣に鑑賞してしまった。

 

途中からだから、いきさつなんかはよく分からない。

出ている女の子たちも誰も知らない。

とりあえず見ていてわかったのは10人くらいの二十歳~三十歳くらいの女の子たちが、10日間を期限に、合計10キロ太るという目標をかかげて、山のなかでサバイバルすると、いうくらいのことだった。

 

バラエティでよくある、サバイバルもの。

ただ普通のサバイバルものならありそうな、必死さとか、創意工夫の面白さとかはまったくなかった。

あったのは女同士のドロドロとした人間模様。

そしていじめの発生だった。

 

一人の、ちょっと張り切りすぎてKYな感じの女の子Aの悪口を、気の強そうな子Bが言い始めた。

まわりの子たちも、それに倣って、次々と悪口に同意していく。

価値観の共有。

それによってAに対する嫌悪感もだんだん強くなっていった。

Aが来ると、みんな理由をつけてその場を離れた。

Aの行動すべてを悪い方に解釈して、悪口。

Aを含む1、2人の女の子を除いて別行動。

Aがエンジ色のジャージを着ていたから「エンジ」というあだ名ついた。

「エンジがきた」

サバイバルのための魚とりから帰ってきたAとは、別の場所に彼女たちはぞろぞろと移動した。

 

Bはもしかして、番組をもり上げようとして、ヒール的な役割を買って出たのかもしれない。

しかし言い過ぎた。

最初はわざと言ってみたものの、途中から感情的になってしまって止められなくなったのか。

私は観ていて、暗い気分になった。

こんなの放送していいのかなと不安にもなった。

Bなんかめちゃめちゃ叩かれそうだ。

 

しかし少しして、これはいじめの発生を確認できたということで、なかなか興味深いのかもと思えてきた。

Bのような女の子はどこにでもいる。

気が強くて、自分が間違っているとは考えもしない。

話しが上手で発信力もあるため、悪口を発信すると、被害はおおきくなる。

そして10人のうち6、7人は、状況次第でどちらにもなびく、風見鶏だ。この割合は、実社会でも同じくらいだと思う。

他人事じゃない。

私を含む多くの人は、風見鶏か悪口を率先して言う人にあてはまるのだから。

Aは確かにKYかもしれない。

でもみんなで悪口をいうのが、それによって正当化されるわけじゃない。

嫌いなら、自分一人で嫌えばいい。

 

とはいえ、人の性質はなかなか変わらない。

せめて自覚すれば少しは良くなるかもしれないけれど、この番組を観た人でさえ、Bの批判はしても、自分がそうだとは考えたくないのが大多数じゃないのかな。

KYなのが悪いっていう勢力もありそうだし。

人の意識はそれぞれがなんとかするしかない。

 

だからいじめの対策としてできるのは、外からの要因を何とかすることだけだろう。

彼女たちをいじめに駆り立てた、外的要因。

それはストレスだったと思う。

常にテレビカメラに晒される。

プライバシーのない、狭い範囲での共同生活。

そのストレスが、一人に対する執拗な攻撃につながった。

人間以外の世界でも、そういうことはありそうではある。

 

ならば、実社会、学校や職場でのいじめを減らすには、なるべくストレスを減らせばいいんじゃないか。

私は学生時代、ずっと同じメンバーで同じ教室にいなくちゃならないのが苦痛でストレスだった。閉じ込められた感じがして。

いろいろと難しいだろうけど、もっと自由になれば、いじめは減るんじゃないだろうか。

それぞれが自由に、目的をもって努力している場所にいじめは少ないと思う。