本木雅弘主演『聖徳太子』の感想

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ようやく観終わった。

1回1時間30分、全2回の時代劇だが、とても長く感じた。

特に前半は、なじみのない時代だけに、知らない人物だらけで難しい。

20年前に作られたドラマらしい。

見た感じ、もっと古いかと思っていた。

使っている言葉が、とても古臭いのでそう思ったのかもしれない。

 

わたしは常々、大河ドラマでは戦国時代や幕末以外のものが見たいと願ってきた。

もう飽きた、知らない時代を取り扱ってほしい、と。

ちなみに嫌いな歴史人物ベスト3は織田信長豊臣秀吉坂本竜馬だ。

(最近は『青天を衝け』や『麒麟がくる』で、切り口次第では、戦国や幕末もまだ楽しめるのだということが分かったので、あまりそう思わなくなってきていたけれど・・・)

ただ、今回このドラマを見て、それがそんなに簡単なことではないということが分かった。

戦国や幕末なら、今までさんざんドラマ化してきたから、セットや小物、衣装、家財道具などの使い回しがある程度できる。

しかしこの『聖徳太子』では、おそらくほとんどのものが新しく作られたはずだ。

かなりの予算がかかったのではないか。

そのわりにはところどころ安っぽい。

つまり費用対効果が非常に悪い。

メイクやアクセサリーについての知識も、あまりこれっていう共通認識はないんじゃなかろうか。

もろもろ考えあわせると、今まであまり大河で取り扱っていない時代をとりあげるのは、なかなか難しいところなのだろう。

まあ、このドラマは大河じゃないけれど。

 

感想としては、最終的には面白くなって良かったという感じ。

前半は前述したように、知らない人だらけ、力関係はよく分からず、名前もみんな変な名前で漢字も読みづらい。

知らないおっさんたちが争っていて、退屈な場面も多い。主人公はまだ子供だし。

この時代の歴史をある程度知っていないと厳しい。

親切じゃない。

けっこう挫折しそうだったが、ところどころ面白いから、なんとか最後まで見られた。

あと衣装も髪型も小物も、見慣れないものなので魅力的。

メイクもエキゾチック。

外国人が普通に存在していて、身分の高い人たちも

外国語を話したりしているのも不思議だ。

実際に使われていたのは、現代の日本語や中国語、ハングル語とは違ったのだろうけれど、それでもその状況が興味深い。

 

このドラマで一番、興味深かったのは緒方拳演じる蘇我馬子だ。

最初の登場シーンでは、無邪気な人だな!という感想。

原始的な無邪気さで、どこか動物的。

素直で、いいことにも、悪いことにもあまり抵抗がない。

そこが魅力的でもあり、恐ろしいところでもある。

だから権力の座に長くいて、悪くなっていってしまうのも違和感がなかった。

もともと、その芽はあったのだ。

ただ、高い地位にいて、諌める者もいないという状況が、芽を大きく育ててしまった。

気の毒なのは、自分が悪くなってしまっているという自覚が少しだけあるところ。

半ば自覚があるのに止められない。止めること自体を忘れてしまう。

最終的に善良な聖徳太子に嫉妬し、自分を殺させて悪に引きずり込もうという考えは、まあ理解できる。

一石二鳥だし。

不思議と共感できるのが興味深いところだろう。

 

聖徳太子新羅人の伊真のやりとりも、誠実で良かった。

もっくんは顔があまり変わらない。イケメンというより、美しいといった感じ。

古代の髪型がよく似合っている。

伊真の人は、表情が考え深げで深みがあるのが魅力的。

 

実際の史実はきっとこんなんじゃなかっただろうとは思うけれど、面白くはあった。

視聴後に脚本をしらべたら『麒麟がくる』と同じ人だった。

なるほどなぁと思う。

親切設計ではないし、ところどころ退屈な場面はあるけれど、いろいろと考えてみるのは楽しい、そういう物語だ。

 

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