映画『ジョーカー』を見て
暗い物語だ。
孤独で、おとなしい、でも気味の悪いこの青年が、のちにジョーカーになることを、観る人は知っているから。
すでに非常に陰気な状況にあるこの主人公が、もっとひどい目にあって、ジョーカーという存在になることは確定している。
最後にはみじめに死ぬことが確定している今川義元や明智光秀の大河ドラマを、一年もかけて鑑賞するようなものだ。
気が重いに決まっている。
だから観るのがこんなにも遅れてしまった。
思えばヒース・レジャーのジョーカーは良かった。
あれは、もう感情の残骸しか残っていなかったから、気楽に見られた。
すでに壊れてしまった後だから、ある意味気が楽だ。
これ以上壊れようがないという点において。
ところがこのジョーカーはまだ、人間的な感情があるから、悲しみが残る。
何とか救われてほしいという気持ちでついみてしまう。
でも最終的に壊れてしまった時にはホッとする気持ちもあった。
もうハラハラしないですむ。
この映画のジョーカーに共感する人は、現代において多いだろう。
それは自分をみじめだと感じている人が多いだろうと思うから。
世の中の事件からも、それは感じられる。
決して良いことではない。
日本だけではなく、世界的にそういう雰囲気があるということなのか。
暗い気分になる。
暗く陰気なこの映画だけれど、一つだけ明るい気分になったことがある。
ホアキン・フェニックスと再会できたことだ。
最近あまり映画自体を観ていなかったので、あまり彼の映画にあたることもなく、なんとなく引退したのかと思っていた。
ホアキン・フェニックスはやはり良い役者だった。
彼を初めて見たのはニコール・キッドマン主演の『誘う女』だ。
気味悪い感じの男子高校生で、印象に残った。
彼はいつもちょっと気味が悪い。
映画が終わってから、つい何歳か調べてしまった。
まだ46歳なのだと知って驚いた。
顔が渋すぎるので、60くらいかと思っていた。
まだ46歳。まだ若い。
これからどんな映画に出てくれるか、まだまだ楽しめそうだ。
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