エッセイ『悶絶スパイラル 三浦しおん著』感想!
情熱的ミラクルエッセイ(背表紙の内容紹介より)
三浦しおん著。
彼女のエッセイはいつも面白い。
面白さに差はあるけれど。
すごく面白い、普通に面白い、まあまあ面白い。
かならず、どれかだ。
何年か前に読んだことがあるような気がしたけれど、記憶がおぼろなのでまた読んでみた。
読んでみた結果、やっぱり読んだことがあったことが判明。
それでも、面白い。
いや、以前読んだ時には、
「あ~面白いな~。でも内容にはあまり共感はできないな~。笑える~。でも共感はできないな~。すごいな~。でも共感はできないな~」
という感じ(?)だったけれど、今回はやっぱり共感はできないものの、心にひっかかったところがあったので、興味深かった。
ひっかかったのは、イカリちゃんのエピソードだ。
イカリちゃんとは、著者が電車の中で偶然見かけた、小学校低学年くらいの、一緒にいる同級生たち2、3人に説教している女の子だ。
イカリちゃんはヒステリックにキャンキャン怒鳴る。
下駄箱で順番を守らないことにたいして。下校時の寄り道にたいして。
そんなことをしていては、ダメ人間になるといって声高に叫ぶのだ。
ダメ人間という呪縛。
前回、このエピソードを読んだ時に、私が思ったことは、
「あ~、こういう女って職場に必ずいるよな~。きっと母親そっくりなんだろうな~。あ~やだやだ」
私が思ったのは、その程度のことだった。
でも著者は、「いっそのことイカリちゃんを誘拐したかった」と。
「ぷんぷん怒っていて、顔もあんまりかわいくなかったが、誘拐したいと思うほど見ていて切ない感じの子」だった。
「イカリちゃんはこのままでは、きっと遠からずいろんなものに押しつぶされてしまう。その崩壊の芽に、イカリちゃんの親はまずまちがいなく気づいていない」
もちろん著者は誘拐なんかしない。
そして心の底からイカリちゃんの幸せを願う。
私はイカリちゃんが幸せかどうかなんて、考えもしなかったことに衝撃を覚える。
そして、自分の子育てのことを嫌でも考えてしまう。
私はイカリちゃんの母親みたいになっていないだろうか?
本を再読することは、興味深い。
以前読んだ時の自分と、現在の自分の違いを感じることができる。
トレーニングが趣味の、そっけなく無口でストイックな塩顔男子(ただの想像)という感じの弟くんが、会話に2ch用語を混ぜてくるのがナイスだ。
2ch用語・・・今となってはとても懐かしい・・・
これも前回読んだは思わなかったことだ。
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